昔話その⑧
彼女が高2になれたとしても、北海道への修学旅行に行けないかもしれない。
それも家の経済的な理由で。(とういか、両親の身勝手で…は言い過ぎか)
何とかならないのか、彼女が高2に上がれたら、僕が負担してもいいから彼女を北海道に連れて行ってやって欲しい、と熱血先生に頼んでみた。
すると彼は「そこは僕の仕事ですから」と力強く言った。
「わかった。じゃあ私は私の出来ることをするから、君は彼女の味方になって欲しい」と熱血先生に頼み込んだ。
4週目。
ここまでの3週間の復習をしつつ、中学数学の初歩の説明・演習を繰り返した。
もはや、彼女が一桁の四則計算につまることはないし、筆算もできるようになり、忘れかけていた計算感覚を取り戻した。
それから最後の週ということでもう一つ。
割合、それも実生活に必要かもしれないお金に関する問題についての話をした。
「1000円の20%っていくらだと思う?」
「・・・わかりません・・・」
「そっか。じゃ、1000円の2割引はわかるかな?」
「・・・・・それも・・・・・・」
最近は、こんな計算が必要な場面は少ないのかもしれない。
それでも、もしかしたら、これから先の人生で何か役に立つかもしれないと思ったので、○円の△割引、○円の△%引き…についての説明と演習をした。
「%は『百分率』って言うんだから、『百に分けたときの割合』、つまり、あるものを百等分したときの何個分か?ってことだよ。例えば1000円を百等分すると、一つ分は10円だよね?20%ってのはそれが20こ分だから、10×20で200円だよ」
「割は『十分率』つまり『十に分けたときの割合』だと思っていいよ。だから、あるものを十等分したときの何個分かということ。例えば1000円の2割といえば、1000円を十等分したときの2つ分。つまり、100×2で200円。だから2割引は1000円ー200円で800円なのよ」
(2割を引くのだから、残りの8割で1000円×0.8=800円の方が計算は早いのだけど、今の彼女にそれを実感してもらえる時間がないので、この方法を選択)
まあ、計算はいざとなったら電卓がやってくれるのだから、あまり気にしなくていい。
ただ、その仕組みや計算方法は知っていて欲しいと思った。
小数や分数なんて使わなくてもいいから・・・。
そして、あっという間に4週目も終わり、ついに彼女が塾に来る最後の日になった。
(続く)
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