昔話その⑦
3週目のある日、担任の熱血先生が様子を見に来てくれた。
「彼女、なんか随分と明るくなりましたね? ちょっとびっくりしています」
「うん、そうだね。僕にも慣れてきたんじゃないかな」
「この間の登校日、副担任も驚いていましたよ」
少しは役に立てたのかなと思って、素直に嬉しかった。
「この調子なら高2になれるかな。
北海道、行かせてやりたいもんね」
「ええと、その・・・ 実は・・・・」
熱血先生の顔と声が暗くなる。
「修学旅行用の積立金を毎月集めているんですが、彼女の母親、ここ数ヶ月滞納してるんですよね・・・」
「ええっ?どういうこと??」
「・・・もしかすると高2になれたとしても、修学旅行に行けないかも知れません・・・」
(続く)
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