昔話その⑤
二日目。
昨日に続いて一桁の足し算用「百マス計算」をやってもらう。
担任の熱血先生にストップウォッチを借りたので、時間を測ることを彼女に伝えてスタート。
・・・7分31秒。昨日よりは幾分慣れてきたのかなと感じる。
ただし、プリントをやり終える時間が少し短くなったことに対する評価はしない。
時間を測ることは「諸刃の剣」だから。
時間を意識することで、より集中できることもあるし、時間短縮に目を奪われて本来の目的を見失ってしまうこともある。
それでも時間を測ることにしたのは、彼女が計算を続けていくのに、「上達している実感」が何か目に見える形で欲しいかなぁと思ったから。
足し算ばかりでは飽きるかなと思って、この日から引き算と掛け算もやってもらった。やはり、くり下がりのある引き算も怪しいし、6、7、8の段の掛け算もうろ覚え。
3×5は素早く言えるのに、5×3は間違えてしまうことも。
もしかしたら、掛け算の意味も実感できていないかもしれない。
三日目。
足し算のプリントは5分37秒。家での宿題もきちんとやってきている。
引き算の百マス計算も取り入れることにした。
さらに、この日から、掛け算の説明もしてみた。
まずは5の段、2の段、という風に。
タイルを見せて、意味を理解できるよう、一つ一つ見せて、その後練習。休憩をはさみつつ、計算練習を黙々と続けてもらう。
計算感覚がつかめるといいのだが。
四日目。
足し算は5分ちょうど。かなり百マス計算の形式にも慣れてきた感がある。
引き算も少しずつではあるが上達している。
掛け算は3の段と4の段。
五日目。
足し算は4分22秒。自分でも足し算が早くなってきているのが嬉しいみたい。掛け算は6の段と7の段。
六日目。
足し算は3分46秒。ついに4分を切った。
掛け算は8の段と9の段。なぜか9の段だけはほぼ覚えていたので、かなり楽にできる。
彼女は小学校3年までは学校に通っていた。
その後、行ったり行かなくなったりの状態になってすでに5、6年経つのだから、単に計算を練習する機会に恵まれなかっただけ。
この一週間で、一桁同士の足し算、引き算はかなりできるようになり、九九もかなり上達した。(まだ割り算には触れていないが)
それに最近は、家で中学校の教科書を引っ張り出してきて読み直しているとのこと。
それも含めて、この一週間の様子を担任の熱血先生に報告しておいた。
また、少しずつ話してくれた彼女の家での様子も耳に入れておいた。
彼女が話してくれたことで印象的だった言葉。
「何にでもなれるとしたら・・・お医者さんかな。小さい頃、助けてもらったから。
あ、幼稚園の先生もいいかな。小さい子はかわいいし。
でも、自分の子どもは欲しくないです。結婚もしません」
「昨日は、朝はコンビニでパンを買って食べて、昼はコンビニのおにぎり2個。 夜は食べてないです」
「えっ・・・ おにぎりの栄養素ですか?
・・・・・たんぱく質ですか?」
(続く)
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